●働き方改革の主旨
近年、日本の労働環境改善が叫ばれており、平成30年7月6日には、政府から、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布された。
その基本方針を以下に抜粋する。※太字は参考文献より引用
『誰もが生きがいを持ってその能力を最大限発揮することができる社会を創るためには、
働く人の視点に立ち我が国の労働制度の改革を行い、企業文化や風土を変え、
働く一人一人が、より良い将来の展望を持ち得るようにすることが必要』
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」
https://www.mhlw.go.jp/content/000332869.pdf
この基本方針から、働き方改革の主旨は「国民一人一人が将来を描けるような働き方」を推進していると読み取れる。
●外部労働市場と内部労働市場
日本は年功序列、終身雇用、企業別組合という、いわゆる日本型雇用と呼ばれるシステムで発展してきた。
これを効率的に回すために、新卒一斉採用という雇用形態をとり、企業が若者を育成し、柔軟な配置を行うことで、仕事量を調整していた。
しかし、近年は非正規雇用の割合が増加し、人的資本の育成が滞っている可能性が高い。
※太字は参考文献より引用
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最も根本的な原因は、日本独自の雇用のあり方にあるといえるでしょう。日本と比べてアメリカはリストラが多いといわれますが、この違いは「外部労働市場」「内部労働市場」という専門用語で説明できます。
景気の浮き沈みや、繁閑期によって、会社全体の仕事量は変わります。アメリカ型の外部労働市場では、そのつどリストラや新規採用をして対応しますが、日本型の内部労働市場では、企業内部の労働時間を調整することで対応しています。
仕事量が減ったときは、できるだけリストラを避け、全員の労働時間を抑えるようにする。仕事量が増えたときは、雇用を増やす前に、まずは今いる社員の配置転換(ジョブローテーション)などで対処するのです。
つまり日本の企業は、いつでも残業できることを前提に成り立っているといえます。雇用を安定させるために、慢性的な長時間労働体制を敷いているのです。
日本の会社員に求められるのは、どんな状況にも対応できる柔軟性です。新卒採用でも、大学の専攻分野などは重視せず、使い勝手のいい人、いろいろできる可能性のある人材を採るのが日本的な採用といえます。
だから、「あなたは転勤できますか」と面接で聞かれて、NOと言えば不採用になるケースも多いのです。理不尽なようですが、日本の法律では転勤の実績がある会社なら、転勤できるかできないかを理由に採用の可否を決められるのです。
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