言葉の煙霞

言葉は、無限の可能性を秘めている。

冬春夏、やがて秋に染まりし

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 恋吹雪(れんふぶき) 

 

「浅はかでした。」

呟いた涙は戻らない。

今日も降り続ける。

あなたへと吹きすさぶ未練 冷たい恋慕。

 

 

会いに行くふりをして

傷つけた愛しさは なれの果て

拾い集めても

目に見えるのはぞんざいな愛の証

 

消えるように響く時雨の足音

もうすぐ本当の雪が降り積もる

心の中は深い真っ白な愛の偽者

闇に消えるあの日の影とあなたについた嘘

 

「愛は終わったの。」

綺麗な愛は続かない。

昨日から降りやまない。

空白になった溝に溜まる あなたへの恋慕。

 

 

抱きしめる振りをして

不意に止まったあなたの腕

そこに愛はなくても

目の前にいるのは気まぐれな愛の形

 

寂寞を混ぜ合わせた宵の空

間もなく絡みつく闇に生まれ変わる

心の中の戸惑いに隠された嘘の文字

闇に消えるあなたの唇と触れられないぬくもり

 

「さよなら。」は言った。

忘れるなんて嘘の声。

明日からあなたはいない。

二度と溶けることはない 永遠の恋慕。

 

 

「愛は終わったの。」

呟いた涙は戻らない。

今日も降り続ける。

あなたへと吹きすさぶ最後の未練 恋慕。

 

 

嫌い叶い桜

 

 

見上げた空 七分咲きの遅桜

今もまだ風に揺れし 一粒の涙

一片(ひとひら)の花びら 頬を撫で

痛む胸 くすぐるは春の香り

 

私とあなたのサクラ花びら

やがて散り行く想いは 咲かぬ思い出

胸に留めようとしては 風すさぶ

忘れることの言い訳

消え去りし花の跡

 

嫌い願うワタシノココロ

今を忘れ去る理由

あなたへの思い 共に散り行く

霞む桜ワタシノカケラ

春の終わり 離れしこの日々よ

 

 

こみ上げる 熱き思い 終わり桜

今もまだ微かに残るは はがれぬ未練

舞い散った花びら 空を超え

カケラ記憶 遠くに消え去りし季節たち

 

私とあなたのサクラ花びら

時に切なき想い 泣けぬ思い出

されど戻らぬ道(さだめ)として 頬濡らす

思い出すことの言い訳

連れ去りし約束よ

 

嫌い願うワタシノココロ

今ここにありき証

私との想い どこへ散り行く

霞む桜ワタシノカケラ

二度と咲くことのなき あの日々よ

 

 

あなたをつなぐ一片(ひとひら

私をつなぐ一片(ひとひら

意味を持たず風に揺れるは

過ぎ去りし軌跡

交わることのなき軌跡

 

 

嫌い願うワタシノココロ

今を忘れ去る理由

あなたとの思い 共に散り行く

霞む桜ワタシノカケラ

最後の春に咲きしは

 

嫌い叶い桜

 

 

月明かりに咲くひまわり

 

 

どうしてこんなにも心苦しいのでしょう

あなたに会える日に想いを馳(は)せては

沸き上がる感情 抑えきれず

今日もまた一人 月明かりに照らされています

 

まっすぐに上を見つめていますか?

何気ない問いに答えるものなど

どこにもいなくて

空を見るだけの私は

どんな色の花を咲かせようとしているのでしょう

 

少しずつ想いの根が伸びていきます

愛苦しさは明日への糧

もうどこにも行かないから

私はいつまでもここで待ち続けているのです

涙に濡れた花のつぼみも

想いのぬくもりに触れて また輝き出すから

 

 

あれからどれくらいの月日が流れたのでしょう

あなたと会った日を思い出すけれど

記憶の花びら はらり 散っていきます

明日もまた1枚 ぬくもり遠ざかっていくでしょう

 

あなたを好きな私はどこですか?

高く 空に近付き過ぎたのでしょうか?

足元 見えなくて

空を見るだけの私は

初めに抱いた花の色 思い出せずにいるのです

 

「あなたに会いたいよ」 独りつぶやきました

愛苦しさはもう届かない

もうどこにも行けないから

私は花を咲かすことしか出来ずに

無理に笑おうとしたつぼみ

想いの重さに耐えきれなくて 埋もれていきました

 

 

あなたを好きな私はどこですか?

最後にもう一度咲かせたいあなた色の私

月を見るだけの私は

あなたの目にどんな色を届けるのでしょう

 

 

降り注ぐ想いと淡き月の明かり

愛苦しさはもう生まれない

私はあなたを忘れてしまうのでしょう

私はあなたにもう届かないのでしょう

涙に濡れた花びらが今 咲き乱れ

二度とこの愛を思い出すことのない

違う色の私を咲かせていました

 

 

秋笑顔

 

 

 靴擦れした足の軽く踏みしめた隙間から

 ゆるりとふわり

 秋のにおい

 かすかに冷たい手を引く僕に

 君はほてった顔を傾げて小さなため息

 

 自由な鳥

 弧を描き

 遠く霞む山々を結びつけるよ

 君と僕も

 あんなふうに飛べたらいいのにな

 二人の手をつなぐ風そよぐ道

 赤い羽根

 ひらひら舞い落ちて重なってゆく

 

「1つだけ言いたいことがあるよ」

 そんな言葉を奥に押し込んだまま

 僕は黙って再び手を引いた

 ゆるんだ頬

 君が小さく笑うよ

 その笑顔が何よりも何よりも素敵だね

 まだ言い出せずに歩き出す

 やわらかな淡い想い

 落ち葉のように揺れていた

 

 

 軽く汗ばんだ

 手のひらの優しいぬくもりは

 君の鼓動か

 僕の気持ち

 やがて落ち着いた手を引く君は

 僕の斜め前を

 いつの間にか歩いてはしゃいでる

 

「あそこがいい」

「キレイだね」

 木々と共に色付く言の葉

 君の声

「いつまで経っても子供のままだね」

 なんて

 そんな言葉はすぐに出てくるくせに

 大切な一言はまだ色付かないまま

 

 ねぇ 君は気付いているのかな?

 そんな気持ちを胸に隠したまま

 僕は黙って君の瞳を見るよ

 照れてはにかんだ小さなその顔

 あぁ やっぱり

 何よりも何よりも素敵だな

 勇気を出して伝えよう

 ひらひらと赤い羽根

 励ますように揺れていた

 

 

 君を恋しいと思うこと

 君を愛しいと思うこと

 その想いは赤く染まってゆくから

 どうか落ちないでこの言の葉よ

 もう少し君に見てほしいから

 もう少し君が笑顔でいますように

 

 

「1つだけ言いたいことがあるんだ」

 色付き出した大事な言葉

 僕は黙って君の手握りしめる

 羽根は想い

 風は言葉になって

 その笑顔に

 ゆっくりとゆっくりと届くんだ

「君が好き」たった1つのメッセージ

 やわらかな秋の空に

 響くように伝わってゆくよ

 

 

 落ち葉ひらひら

 握りしめた手の中に