言葉の煙霞

言葉は、無限の可能性を秘めている。

☆009.「夢を託す」ではなく、「夢を選ぶ機会を与える」こと

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「うわ。すご」

 高梨真一はパソコンの画面を見ながら、感嘆の声を上げた。

 某ゲーム会社の採用サイトだった。ゲームを作ることだけではなく、それに関わる仕事の数々が、社員の目線から事細かに紹介されていた。

 ゲーム機の基板設計はもちろん、ゲーム内に出てくる馬の動きのプログラミング、ゲームで使用するオリジナルのフォントデザイン、海外版ゲームの法務チェック、などなど。

「まさに、世界は誰かの仕事でできているんだな」

 この会社ではどんな仕事ができるのか。それを選択させる余地があることに感動した。社員一人一人の仕事が、誇張されることなく紹介されていた。

「おれがやってる仕事も、きちんと社会に貢献しているんだなってことがみんなに届けば、やる気も出てくるのかなぁ」真一はマウスを片手に握りながら、次々と感想を漏らしていた。「ところで、何やってるの」

 家族の誰からも反応がなく、まるで独り言のようだと気づいた真一は、テレビ画面に夢中の妻に声をかけた。長女の陽乃(はるの)と長男の太陽は結子の隣でソファに座り、それぞれ絵本を読んでいた。

「ちょっと待って。今、ドット絵で線路を作ってるんだから」

「は?」

 結子はゲームをやっていた。真一が今まさにネットで見ていた、この某ゲーム会社から最近発売したものだ。

「出来た。見て」

 テレビを見ると、海の傍に線路が描かれていた。その線路の上で海を見つめる女の子。なんとなく、どこかで見たことがある光景だった。

千と千尋の世界を再現してみました~」結子が得意そうに笑いながら、スマホで写真を撮った。「こういうの、ツイッターで映えるんだよね」

 ツイッター映え、という言葉を前に結子から聞いたことを思い出した。

ツイッターはインスタと違って、盛らないんだよ。面白ければ、それでよし」結子がツイッターの画面をスクロールしている。「見て」

 ツイッターには、このゲームの画面を撮影した写真がたくさん投稿されていた。アニメや漫画のキャラクターの服装を自作したものや、その世界観を村の中で再現したもの。道路をドット絵で作成している。よくここまでやるなと、真一は感心した。

「みんな、自分がやってることを、公開したくてたまらないんだよ」

 確かに、やっていることや、やりたいことを可視化していくことは、仕事でも重要だ。今や、自分の考えや意見を簡単に発信できる時代だ。情報が溢れすぎていて、処理しきれない。

「お父さーん、絵本読んでー」

 陽乃と太陽が絵本を片手に、真一の膝に乗っかってくる。二人が乗っかると、流石に重い。陽乃は『なつみはなんでもなれる』という絵本、太陽は『小さなおひっこし』という絵本だった。

 子供の頃から絵本を読んでいると、感受性が豊かになると、どこかで聞いた気がする。読書する癖が身につき、更にたくさんの本を読むことは、知識の習得に貢献する。

 子供に対しては、夢を託すのではなく、夢を選ぶ機会を与えてあげたい。機会の平等と結果の平等という言葉を真一は思い出した。

 真一は氷河期世代だ。機会の平等が与えられなかった時代に受験し、就職し、結婚して、子供に恵まれたことは、それだけで本当に運が良かっただけに思える。そこからこぼれ落ちた人たちは、子供への投資もままならないだろう。いや、それどころか、自分の生活すらしんどいのだ。結果的に格差は連鎖していく。

 子供たちには、最大限の選択を与えてあげたいと、切に願う真一だった。

 

 

 この絵本はとても面白いです。私の長女も長男もお気に入りで、かなりの頻度で読んでいます。

 

 

【本日のキーワード】

#就活

#やりたいことの可視化

#ツイッター映え

#機会の平等

#結果の平等

#ナレッジキュレーター

 

 

【本日の参考資料】

 

 ちなみに私は、任天堂の回し者ではありません(笑)。

 このサイトを見て、夢を与えるということは、素晴らしいことだと思いました。

機会の平等と結果の平等をテーマにした話はそのうち書きたいと思っていますが、今の日本は、子供への人的資本投資における不平等――いわゆる教育格差などから始まり、結果的に、所得の格差へつながっていると思います。

子供に夢を無理矢理託すことは、大人にエゴです。子供に無限の可能性を求めるのであれば、どんな仕事があって、どんな知識が必要なのか、それらを教えることが大切だと思います。

どんなときも、この世界を俯瞰的に見ていきたいものです。

 

gendai.ismedia.jp

 

www.nintendo.co.jp

 

chi-vi.com

 

一か月に本を全く読まない人の割合は約50%もいるのです。驚愕。読書量も過去と比較して、減っています。その要因としては、「仕事や勉強が忙しくて本を読む暇が無い」人が半数です。

「日本人の読書量や読書時間が少ない」としてよく使われるソース(世界との比較)

https://bvb-arigato.com/source-links-frequency-of-reading-books/

 

しかし、本を読むことすら、格差が出来てしまっている状況であるのも事実。

本を読むから年収が上がるのか、年収があるから本を買うのか。どちらでしょうか。

「ナレッジ・キュレーター」という言葉があります。よりよい人生を歩むために、情報を集約し、知識とし、自分の考えを構築していくことは非常に重要です。

 

entreplanner.jp

 

knowledge-curation.com