短編小説集
あの海を越えても。 神社で買った小さなお守りは、ひどく重かった。震える手で握り締めようとしたが、指に力が入らない。まるで磁石のような力に包まれているみたいだった。それとも、私の指が握り締めることを拒否しているのだろうか。 五百円玉のお釣りを…
恋吹雪(れんふぶき) 「浅はかでした。」 呟いた涙は戻らない。 今日も降り続ける。 あなたへと吹きすさぶ未練 冷たい恋慕。 会いに行くふりをして 傷つけた愛しさは なれの果て 拾い集めても 目に見えるのはぞんざいな愛の証 消えるように響く時雨の足音 …
俺は彼女を選べる。 昔から彼女に不自由しなかったし、まるでコンタクトレンズを交換するかのように、常に新しい出会いを欲していた。 付き合うってなんだろう。好きってなんだろう。 そんなことを少しだけ考えるお話です。 「あなたは『好き』を手入れして…
――あなたが置き忘れた気持ちは、なんですか? 2,000文字の短編ですよ。5分で読めますよ。 昔、アップしてたものを、タイトルと中身を少し改稿して、ここでもアップします。 ********* 「郵便です」 無愛想な表情をした郵便配達の男が、今日もやってきた。 …
2,000文字の短編です。家事・育児の合間に書いたものです。 詞先小説という、私が勝手に作ったジャンルの物語です。数年前に作った詩の世界を小説にしてみました。 『「この世界には、痛みが感じない世界もある」この話は、そのことに出会った、ある夏…
愛に一度溺(おぼ)れると、心が渇望したとき、身体に染み付いてしまった愛が泣いているように思える。
小さな村にアンケゴークという魔女が住んでいました。 これはそんな魔女が紡ぐ、短い短い、独り言。
砂にまみれた女の23年間の軌跡。 意外に長い短編小説。 果たして短編小説と呼べるのか。 思いつくままにつらつらと書き上げただけの物語。 R15です。
ちょっとした短編小説です。8,000文字くらいです。 現実に疲れたあなたへ、ちょっぴり非現実で、オレンジジュースを飲み干したくなるような、そんなお話。 通勤、通学、お昼休みに是非。 あなたの世界が、素敵でありますように。 こんなにも、世界は美…
ここからはネタバレです。 先に本編を読んでから、お読みください。
全8,000文字程度の、短編小説です。 つまらない毎日に、ちょっとした刺激を与えるような、そんなお話です。
全12,000文字程度の短編小説です。 会社に不満を持ちつつも、どうしようか悩み、それでも前に進むしかない若者へ捧げる物語です。 お時間があるときに、是非。
この雪がとける頃、私は大学生になる。 人間は誰しも、ぬるま湯の中に片足を突っ込んで生きている。私も同じだ。 でも、このぬるま湯の温度を上げる術を、探しているのだ。 体温を下げないよう、気を遣いながら。