言葉の煙霞

言葉は、無限の可能性を秘めている。

理系コンストラクション

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし⑥】

この理系コンストラクションは全6話です。 第一話 モーメントゼロ 第二話 非破壊レーザーに死角なし ↑ 今ココ!(次の更新で終わる予定、たぶん) 第三話 不屈の座屈 第四話 心のハザードマップ 第五話 このPDCAサイクルは本気なの? 第六話 二人の設計積雪…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし⑤】

久々に更新します。 9月中にキリよくこの第2話を終えたい……。 この小説はきちんと完結したいと考えていますが、インフラって、語れば語るほど、物語の幅が広がってきて、書くのはなかなか難しいです。 2.非破壊レーザーに死角なし⑤ 豊曲川(とよくまかわ)…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし④】

2.非破壊レーザーに死角なし④ 背伸びしながら息を吸い込むと、朝涼(あさすず)の残り香が頬を撫でていった。 午前八時。太陽の日差しが円環を伴って降り注ぐ。よく晴れた朝だった。足元には桜の花びらが、遅くやってきた春の終わりを知らせるように散らばっ…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし③】

2.非破壊レーザーに死角なし③ 「お・と・えー!」 構造力学研究室、修士一年とパネルが貼られた扉は、いつも通り開かれていた。私は勢いよく足を踏み入れ、部屋の奥にいる音絵へ声をかけた。 「なに?」 雀が木の枝に隠れながらさえずるような、そんな声だ…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし②】

2.非破壊レーザーに死角なし② 私は昔から、何でもすぐに破壊してしまう女だった。 中学校の頃、付けられたあだ名がデストロイア。ゴジラ好きの男子が最初にそう呼び始めたことがキッカケだった。なんだよ、ゴジラって。家に帰ってインターネットで調べてみ…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし】

2.非破壊レーザーに死角なし 後輩の話を聞いて、私は憤慨した。 その話を聞いたのは、久々に顔を出したテニスサークルで、休憩に入った時だった。 ストロークとボレーのクロスを、五分二セット。社会インフラ学科二年生の後輩である篠田麻衣(しのだまい)と…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ④】

↓ 前のお話へ。 www.hinata-ma.com 1.モーメントゼロ④ 「ねぇ、何見てるの?」 ちょうど小さな画面の中に、琴葉先輩の写真が表示された時だった。瑞希がハンカチを片手に席へ戻って来た。 「この人、知ってる?」 俺はスマホの画面を見せた。白い大きなス…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ③】

このお話を書くにあたって、前回のお話を大幅に加筆・修正しました。2020年7月17日。 継続してお読みになっている方は、前回の話を先にお読みください。 健と瑞希が出会った場面の描写を増やしました。 (読まなくても、流れはわかりますが……) ↓前の…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ②】

1.モーメントゼロ② 「お前、あれは流石(さすが)にないわ」 目の前に座る孝太が肩をすくめ、ため息混じりのうんざりした声を上げている。 工学部にある学生レストランは、天井、壁ともにガラス張りで、陽の光を余すことなく取り込んでいた。数多の学生が織…

理系コンストラクション

理系コンストラクション 「構造こそは土木工学の母国語であり、土木工学というものは構造を通じて思考し自己を表現する絵師である」 舞台は北海道のとある国立大学。 工学研究科社会インフラ工学専攻、構造力学研究室に所属する、修士一年の琴葉音絵。 彼女…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ】

1.モーメントゼロ ――この先生の研究室には、かたい女がいるらしいぞ。 俺がその噂を聞いたのは、大学の二年生に上がって、自由なキャンパスライフがより楽しさを増してきた時、構造力学というつまらない講義が始まった時と、同時だった。 午前中二コマ目の…