言葉の煙霞

言葉は、無限の可能性を秘めている。

◆集英社コバルト文庫・短編小説新人賞に応募しています。

まだまだ修行中ですが、集英社様のコバルト文庫・短編小説新人賞に応募しています。 去年の4月から応募を始めて、そろそろ1年が経ちます。 ここでは『もう一歩』となった作品をまとめてます。 人並みに読める作品となっているはずですので、お時間が許す限…

陽だまりのたんぽぽ

とんぼが飛んでいるのを見たときに思ったこと。 「昆虫って何考えてんだろう?」 柔らかい風が吹いて、空高く舞い上がって、「人間って、どうして空を飛ばないんだろう」とか彼らは思っているんだろうか。 あの目で。 あの体で。 くもの巣にそのとんぼが引っ…

深淵に届け。

こんにちは。 自分探しが大好きな理系人間の真辺陽太です。 この一か月、時間が許される中、純文学や過去の受賞作品の小説を読み、自分が書いた物語に足りないものをつらつらと書き出していました。 その数が、実に多いこと多いこと。まだまだ未熟な私です。…

あの海を越えても。

あの海を越えても。 神社で買った小さなお守りは、ひどく重かった。震える手で握り締めようとしたが、指に力が入らない。まるで磁石のような力に包まれているみたいだった。それとも、私の指が握り締めることを拒否しているのだろうか。 五百円玉のお釣りを…

2020年を振り返って。

『Dans la vie on ne regrette que ce qu'on n'a pas fait. (人生において、人は何かをしなかったということ以外に後悔するものではない。)』 これ、私の好きな言葉の一つです。 フランス人作家のジャン・コクトーという方の言葉。 さて、今年はいろいろな…

理系コンストラクション【第3号 不屈の座屈②】

2.自分の証明 仄暗い講義室の片隅に、異国の街並みが表示される。森と湖の国フィンランド。ヘルシンキ駅前の様子だ。近未来的なシルエットの路面電車が映し出されている。緑色と黄色のツートーンカラー。首都ヘルシンキの伝統の色。 フィンランドはスカン…

理系コンストラクション【第3号 不屈の座屈①】

1.非効率の誰かさん 効率なんて、大嫌い。 例えば、早く家へ帰りたくて時間を短縮して掃除したとしても、友達からの不毛な会話で帰れなくなった時。夜遅くまで脇目もふらず課題を真面目に仕上げても、不真面目なクラスメートにノートの中身を見せなきゃい…

冬春夏、やがて秋に染まりし

恋吹雪(れんふぶき) 「浅はかでした。」 呟いた涙は戻らない。 今日も降り続ける。 あなたへと吹きすさぶ未練 冷たい恋慕。 会いに行くふりをして 傷つけた愛しさは なれの果て 拾い集めても 目に見えるのはぞんざいな愛の証 消えるように響く時雨の足音 …

コンタクトレンズ式彼女

俺は彼女を選べる。 昔から彼女に不自由しなかったし、まるでコンタクトレンズを交換するかのように、常に新しい出会いを欲していた。 付き合うってなんだろう。好きってなんだろう。 そんなことを少しだけ考えるお話です。 「あなたは『好き』を手入れして…

スカイ・ノット・ツリー

僕は写真を撮ることが日常だった。でも、拓哉の何気ない一言で、その日常が曇り始める。 そんな中、高校の修学旅行が迫っていた。行先は東京。いつもと違う日常に、挨拶すらしたことがないクラスメート・月浦水奈という存在が紛れ込むことで、僕らの非日常が…

☆012.独身のままでもいいじゃない!

「知ってるか? 子供を三人産んだら、月に六万円もらえるかもしれないぞ」 金曜日、やや混雑した電車の中。つり革に掴まらず、扉に寄りかかっていてスマホで今日のニュースを読んでいると、高梨真一の耳にそんな声が届いた。視線だけちらりと横に向けると、…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし⑤】

5.彼女の世界に死角なし 液晶画面に表示された波形は、赤や黄、青の色彩がくっきりと映えていて、うっとりするほどに綺麗だった。 キリリリ、と河原の方から不思議な鳴き声が聞こえた。なんて鳥だろう。頭にそんな考えがよぎったけど、私は新しいレーダー…

夜遊びコンテストvol2に参加してみたよ。

monogatary.com様が主催する、『お題「【YOASOBI】東京、二人の波形」』に物語を投稿しました。 『始まらない恋』と言うものを描いています。 自己完結型の恋と言っても良いです。 文字数は約一万文字。 もやもやした気持ちになりたい人は、読んでみてくださ…

エモさ(もののあはれ)に音楽を推す。

今、小説をひたすら執筆していて、ブログが全く更新されないのもアレなんで、趣味の記事を書く。 自分の好きな音楽を、勝手に推して、皆さんにエモさへのわかりみを深くしてもらうものだ。 これって、創作に重要だと思うのです。 女性シンガーが好きな人は、…

二次創作置場

**注意** 本記事は、吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)氏の大人気漫画『鬼滅(きめつ)の刃』の設定を拝借し、筆者が勝手に二次創作しようと設定を書き連ねたものです。 著作権の問題もあるので、完全なる趣味とご理解ください。 ****** ■■鬼滅の刃・北…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし④】

4.見えない循環に熱意あり 久々にやってきた岩川(いわかわ)旧堤防の斜面と道路には、この春、芽吹いたばかりの小さなオオイタドリが、所狭しに繁茂(はんも)していた。砂利が敷かれて道路になっている部分は幾分マシだったけれど、それでもフキのような大き…

Your Letter

――あなたが置き忘れた気持ちは、なんですか? 2,000文字の短編ですよ。5分で読めますよ。 昔、アップしてたものを、タイトルと中身を少し改稿して、ここでもアップします。 ********* 「郵便です」 無愛想な表情をした郵便配達の男が、今日もやってきた。 …

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし③】

3.朝涼の羽衣 「お・と・えー!」 構造力学研究室、修士一年とパネルが貼られた扉は、いつも通り開かれていた。私は勢いよく足を踏み入れ、部屋の奥にいる音絵へ声をかけた。 「なに?」 雀が木の枝に隠れながらさえずるような、そんな声だった。誰にも見…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし②】

2.サステナブル計画 私は昔から、何でもすぐに破壊してしまう女だった。 中学校の頃、付けられたあだ名がデストロイア。ゴジラ好きの男子が最初にそう呼び始めたことがキッカケだった。なんだよ、ゴジラって。家に帰ってインターネットで調べてみると、二…

はりねずみと君に

2,000文字の短編です。家事・育児の合間に書いたものです。 詞先小説という、私が勝手に作ったジャンルの物語です。数年前に作った詩の世界を小説にしてみました。 『「この世界には、痛みが感じない世界もある」この話は、そのことに出会った、ある夏…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし】

1.葵の憂鬱 後輩の篠田麻衣(しのだまい)から話を聞いて、私は憤慨した。 久々に顔を出したテニスサークルで、休憩に入った時だった。 ストロークとボレーのクロスを、五分二セット。社会インフラ工学科二年生の篠田と本気で打ち合い、ベンチに座りながら首…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ④】

↓ 前のお話へ。 www.hinata-ma.com 4.二人の距離 気がついたら、ひと気のない静かな廊下を歩いていた。工学部の研究棟。構造力学の研究室へつま先が向かっていた。修士一年と書かれたパネルが貼ってある扉は、さ迷う誰かを招き入れるようにひっそりと開い…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ③】

↓前のお話へ。 www.hinata-ma.com 3.彼女との距離② 先輩Aの証言(琴葉音絵(ことはおとえ)の同級生) 「構造力学研究室の修士一年。今年の三月、社会インフラ工学科を首席で卒業し、大学院へ進学。研究室では、鋼材の座屈(ざくつ)や地震が起こった時の振動…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ②】

2.彼女との距離 「お前、あれは流石(さすが)にないわ」 目の前に座る孝太が肩をすくめ、ため息混じりのうんざりした声を上げている。 工学部にある学生レストランは、天井、壁ともにガラス張りで、陽の光を余すことなく取り込んでいた。数多の学生が織りな…

理系コンストラクション

理系コンストラクション 第1号 モーメントゼロ 第2号 非破壊レーザーに死角なし 第3号 不屈の座屈 理系コンストラクション 「構造こそは土木工学の母国語であり、土木工学というものは構造を通じて思考し自己を表現する絵師である」 舞台は北海道のとある…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ】

1.かたい女 ――この先生の研究室には、かたい女がいるらしいぞ。 俺がその噂を聞いたのは、大学の二年生に上がって、自由なキャンパスライフがより楽しさを増してきた時。構造力学というつまらない講義が始まった時と、同時だった。 午前中二コマ目の講義は…

こぼれた愛に、コロネーション

愛に一度溺(おぼ)れると、心が渇望したとき、身体に染み付いてしまった愛が泣いているように思える。

無意識の贖罪(しょくざい)

人と付き合うと、なんとなく、罪の意識を持てよと思うことがある。 私はそんな人間の一人だ。 でも、それをなんとなく許容しているうちに、自分自身へ罰が下っているような錯覚に囚われる。つまり、人と付き合うことは、巡り巡って、自分を罰することになる…

2020年上半期に読んだ本

6月も今日で終わるので、2020年、上半期で読んだ本を紹介したいと思う。 去年までは『読書記録』なるものをつけていたのだけど、今年に入ってからはつけていなかったので、去年読んだものも含む。 ハードカバーやら、単行本やら、小説・文庫から紹介し…

魔女の独り言

小さな村にアンケゴークという魔女が住んでいました。 これはそんな魔女が紡ぐ、短い短い、独り言。