言葉の煙霞

言葉は、無限の可能性を秘めている。

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし⑥】

この理系コンストラクションは全6話です。 第一話 モーメントゼロ 第二話 非破壊レーザーに死角なし ↑ 今ココ!(次の更新で終わる予定、たぶん) 第三話 不屈の座屈 第四話 心のハザードマップ 第五話 このPDCAサイクルは本気なの? 第六話 二人の設計積雪…

☆012.独身のままでもいいじゃない!

「知ってるか? 子供を三人産んだら、月に六万円もらえるかもしれないぞ」 金曜日、やや混雑した電車の中。つり革に掴まらず、扉に寄りかかっていてスマホで今日のニュースを読んでいると、高梨真一の耳にそんな声が届いた。視線だけちらりと横に向けると、…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし⑤】

久々に更新します。 9月中にキリよくこの第2話を終えたい……。 この小説はきちんと完結したいと考えていますが、インフラって、語れば語るほど、物語の幅が広がってきて、書くのはなかなか難しいです。 2.非破壊レーザーに死角なし⑤ 豊曲川(とよくまかわ)…

夜遊びコンテストvol2に参加してみたよ。

monogatary.com様が主催する、『お題「【YOASOBI】東京、二人の波形」』に物語を投稿しました。 『始まらない恋』と言うものを描いています。 自己完結型の恋と言っても良いです。 文字数は約一万文字。 もやもやした気持ちになりたい人は、読んでみてくださ…

エモさ(もののあはれ)に音楽を推す。

今、小説をひたすら執筆していて、ブログが全く更新されないのもアレなんで、趣味の記事を書く。 自分の好きな音楽を、勝手に推して、皆さんにエモさへのわかりみを深くしてもらうものだ。 これって、創作に重要だと思うのです。 女性シンガーが好きな人は、…

二次創作置場

**注意** 本記事は、吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)氏の大人気漫画『鬼滅(きめつ)の刃』の設定を拝借し、筆者が勝手に二次創作しようと設定を書き連ねたものです。 著作権の問題もあるので、完全なる趣味とご理解ください。 ****** ■■鬼滅の刃・北…

感想の倍返しだ~vs橋本利一さん~

こんにちは。 先日、インフルエンサーノベリストの橋本利一さんに、拙作『猫は朝霧に燃ゆ』を読んでいただきました。 この方はツイッターやご自身のブログで様々な発信をしていまして、その中で『小説を読みに行く』という有償サービスを行っていました。私…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし④】

2.非破壊レーザーに死角なし④ 背伸びしながら息を吸い込むと、朝涼(あさすず)の残り香が頬を撫でていった。 午前八時。太陽の日差しが円環を伴って降り注ぐ。よく晴れた朝だった。足元には桜の花びらが、遅くやってきた春の終わりを知らせるように散らばっ…

Your Letter

――あなたが置き忘れた気持ちは、なんですか? 2,000文字の短編ですよ。5分で読めますよ。 昔、アップしてたものを、タイトルと中身を少し改稿して、ここでもアップします。 ********* 「郵便です」 無愛想な表情をした郵便配達の男が、今日もやってきた。 …

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし③】

2.非破壊レーザーに死角なし③ 「お・と・えー!」 構造力学研究室、修士一年とパネルが貼られた扉は、いつも通り開かれていた。私は勢いよく足を踏み入れ、部屋の奥にいる音絵へ声をかけた。 「なに?」 雀が木の枝に隠れながらさえずるような、そんな声だ…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし②】

2.非破壊レーザーに死角なし② 私は昔から、何でもすぐに破壊してしまう女だった。 中学校の頃、付けられたあだ名がデストロイア。ゴジラ好きの男子が最初にそう呼び始めたことがキッカケだった。なんだよ、ゴジラって。家に帰ってインターネットで調べてみ…

はりねずみと君に

2,000文字の短編です。家事・育児の合間に書いたものです。 詞先小説という、私が勝手に作ったジャンルの物語です。数年前に作った詩の世界を小説にしてみました。 『「この世界には、痛みが感じない世界もある」この話は、そのことに出会った、ある夏…

理系コンストラクション【第2号 非破壊レーザーに死角なし】

2.非破壊レーザーに死角なし 後輩の話を聞いて、私は憤慨した。 その話を聞いたのは、久々に顔を出したテニスサークルで、休憩に入った時だった。 ストロークとボレーのクロスを、五分二セット。社会インフラ学科二年生の後輩である篠田麻衣(しのだまい)と…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ④】

↓ 前のお話へ。 www.hinata-ma.com 1.モーメントゼロ④ 「ねぇ、何見てるの?」 ちょうど小さな画面の中に、琴葉先輩の写真が表示された時だった。瑞希がハンカチを片手に席へ戻って来た。 「この人、知ってる?」 俺はスマホの画面を見せた。白い大きなス…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ③】

このお話を書くにあたって、前回のお話を大幅に加筆・修正しました。2020年7月17日。 継続してお読みになっている方は、前回の話を先にお読みください。 健と瑞希が出会った場面の描写を増やしました。 (読まなくても、流れはわかりますが……) ↓前の…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ②】

1.モーメントゼロ② 「お前、あれは流石(さすが)にないわ」 目の前に座る孝太が肩をすくめ、ため息混じりのうんざりした声を上げている。 工学部にある学生レストランは、天井、壁ともにガラス張りで、陽の光を余すことなく取り込んでいた。数多の学生が織…

理系コンストラクション

理系コンストラクション 「構造こそは土木工学の母国語であり、土木工学というものは構造を通じて思考し自己を表現する絵師である」 舞台は北海道のとある国立大学。 工学研究科社会インフラ工学専攻、構造力学研究室に所属する、修士一年の琴葉音絵。 彼女…

理系コンストラクション【第1号 モーメントゼロ】

1.モーメントゼロ ――この先生の研究室には、かたい女がいるらしいぞ。 俺がその噂を聞いたのは、大学の二年生に上がって、自由なキャンパスライフがより楽しさを増してきた時、構造力学というつまらない講義が始まった時と、同時だった。 午前中二コマ目の…

こぼれた愛に、コロネーション

愛に一度溺(おぼ)れると、心が渇望したとき、身体に染み付いてしまった愛が泣いているように思える。

無意識の贖罪(しょくざい)

人と付き合うと、なんとなく、罪の意識を持てよと思うことがある。 私はそんな人間の一人だ。 でも、それをなんとなく許容しているうちに、自分自身へ罰が下っているような錯覚に囚われる。つまり、人と付き合うことは、巡り巡って、自分を罰することになる…

暁 『1.夜が明けるかどうかのころの意の古風な表現。2.(そうなる保証はないが)将来あることが実現した、その時。暁闇~明け方近くになっても月が出ておらず、あたりが暗いこと。』 ところどころ木の枠が剥(は)げかかった東屋(あずまや)は、夜の帳(とばり)に…

世界が少しでも【1.春の前③】

1.春の前③ 去年の夏休み、大学三年生のときだった。わたしはインターンシップとして、ある小さな出版社の職場へ行った。 コピー、印刷、お茶くみ。一昔前のオフィスレディの仕事を揶揄(やゆ)するような事務作業は一切なく、能力があれば、男性も女性も関係…

世界が少しでも(プロット版)

世界が少しでも 南関東中央大学の文学部で社会思想を専攻する南春香は、三年生の秋頃から周りの人たちに流されるまま、就職活動を始める。 就職セミナー、インターンシップ、企業訪問、そして、エントリーシート。 面接に向けて、自己分析を進めていくうちに…

世界が少しでも【1.春の前②】

1.春の前② 乾杯という掛け声とともに、グラスと氷のぶつかる音が軽やかに鳴り響き、わたしは我に返った。季節外れの風鈴があちこちにぶら下がっているようだった。 「就職おめでとう」 学生たちの明るい声が耳の奥へ滑り込んでくる。場の雰囲気とは裏腹に…

世界が少しでも【1.春の前】

1.春の前 「志望動機は、ありません」 わたしは背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を向き、迷いのない口調で、凛とした言葉を放った。 さっきまで春の日差しが入り込み明るかった部屋の色彩が、水槽の中に灰色の絵の具を落としたようにじわじわと薄暗くなっていく。…

2020年上半期に読んだ本

6月も今日で終わるので、2020年、上半期で読んだ本を紹介したいと思う。 去年までは『読書記録』なるものをつけていたのだけど、今年に入ってからはつけていなかったので、去年読んだものも含む。 ハードカバーやら、単行本やら、小説・文庫から紹介し…

魔女の独り言

小さな村にアンケゴークという魔女が住んでいました。 これはそんな魔女が紡ぐ、短い短い、独り言。

砂にまみれた砂を呑む

砂にまみれた女の23年間の軌跡。 意外に長い短編小説。 果たして短編小説と呼べるのか。 思いつくままにつらつらと書き上げただけの物語。 R15です。

☆011.新型コロナ収束後の家庭は嵐である

我が家の朝は、戦場である。 ご飯食べた? 歯磨きは? 顔洗った? ハンカチとティッシュ持った? マスクつけて! 体温も測ってね! 高梨真一(たかなししんいち)はキッチンで朝食の洗い物をしながら、妻・結子(ゆうこ)が発する怒涛の言葉を聞いていた。 「カ…

1.空のブランコ②~ラピアライズの亡霊~

1.空のブランコ②~ラピアライズの亡霊~ 「ラピアライズの亡霊?」 姫様が弾んだ声を出す。心なしか、瞳も輝かせている気がする。「あぁ」唇から酒をこぼすように呟きながら、マスターが頷く。「この地には昔から、亡霊、小人(こびと)の精、竜(ドラゴン)の…